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在日コリアンの独白



沖縄の思い

私は大学時代に、大学を休学して、3ヶ月ぐらい沖縄の友達の家に住んでいたことがある。
 その時に、初めて、沖縄がただ海が美しい観光地じゃなくて、悲惨な戦争の舞台になった土地であること、そして戦後もアメリカ軍の基地によって苦しめられている島であることを知った。

 訪れたひめゆり資料館で聞いた、ひめゆり部隊の隊員だったおばあさんによるあまりにも悲惨極まりない沖縄戦の話。
 民間人が沢山しんだため、戦後沖縄の野菜が大きく育った。それは死者の栄養を吸って育ったからという話。
 バスで案内された美しい沖縄の島の各地に張り巡らされた、米軍基地の有刺鉄線。耳をつんざく戦闘機の騒音。これまで沖縄で起きた米軍被害で一体どれだけ多くの人が亡くなっているか。

 中でも、沖縄戦の話から私が知ったことは、軍隊と言うものは、一般庶民を守るためのものではない、ということだった。

 沖縄では米軍以上に、自衛隊が忌み嫌われている。その理由がまさに、沖縄戦にあった。一般市民を巻き込んだ勝手な戦争を沖縄で始めておきながら、邪魔になったら沖縄のひとを虐殺した日本軍。沖縄の方言で話すと勝手にスパイと決め付けて殺した日本軍。ガマに非難したときも赤ん坊がうるさいと銃剣で脅して、母親に赤ん坊を殺させた日本軍。

 確かに米軍の攻撃でなくなった方も多いが、その前にまず、自分達を守ってくれると思っていた日本軍によって酷い目に遭わされた沖縄県民。
 軍隊は一般人を守るためじゃなくて、当時であれば天皇を頂点とした日本国家の体制を守るためのものだったのだ。「国体護持」とはこのことか。そのためには沖縄県民の命など、なんとも思ってなかったとしか思われない。本土に襲撃されないための「捨て石」にされたのだ。沖縄は。
 
 そのうえ、捕虜になって辱めを受けるぐらいなら、自害しするよう沖縄県民に叩き込んだ日本軍。そのため、多くの若い命集団自決と言う形で、自ら命を絶った。

 それを今更、住民が死んだのは日本軍が関与したことじゃない、とか言ってる日本の政治家や教科書会社の見識をを疑う。

 沖縄県民を酷い目にあわせといて、その事実を隠蔽しようというからには、沖縄県民が黙ってるわけがない。
 今回の沖縄で11万以上の人が立ち上がって声を上げたことを、私達本土に住む人間は、決して、ひとごとと無視してはならない。

 海の美しいちゅら海沖縄。確かに海も美しいだろう。人も優しいだろう。
 でも、その背後に沖縄の人々が背負わされている深い戦争の傷跡を、しっかり私達は分かち合っていかなければいけないと、改めて思わされた。

 もともと平和な国だった琉球王国の地、沖縄に、基地もない平和が訪れるのはいつになるんだろう・・・。
 いつも美しい沖縄の海を見るたびに、景色があまりに美しいがゆえに、過去の歴史と現在の米軍基地を見て、余計に胸が痛む。

 特に私の場合は、沖縄県民の味わってきた苦痛が、在日韓国人が日本で味わってきた苦しみと重なり、非常によくわかるところがある。
 例えば、関東大震災。このとき警察が「朝鮮人が井戸に毒をまいた」とデマを吹き、民心を煽ったため、日本語がうまく話せない人は、朝鮮人をはじめ沖縄のひとも沢山虐殺された。そして本土での在日差別や沖縄差別。そして沖縄も朝鮮半島も戦争の犠牲にあったこと。
 そして政治家・教科書会社による、日本軍のもたらした朝鮮半島や中国における戦争被害の矮小化。正当化。
 だから余計に、沖縄の声が人事には思われない。 
 
おかしいことにはおかしいと声を上げなければ、何も世の中変わらないのだから、沖縄県民の行動力に敬服。
by chappy_crowassant | 2007-10-08 12:11 | 沖縄
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日常のニュースを見て思うことや、在日コリアンとして感じることを、赴くままに書き綴る。ただし、ここは論争の場ではないので、政治的な問題に関し異議のある方は、ひとりの在日の考えとして聞き流して下さい。

by chappy_crowassant